最終更新:2025年11月5日

50代・60代になり、夫婦で「いつもと違う、ちょっと贅沢なランチ」を楽しみたいと思ったとき、「ランチクルーズ」はとても魅力的ですよね。

海の上で、美しい景色を眺めながら、美味しいお食事をいただく…。まさに非日常の体験です。

ただ、いざ行こうと思うと、「ドレスコード(服装)は厳しいのかしら?」「船は揺れて、船酔いしない?」「船の中の移動(階段など)は大変じゃない?」といった、シニア世代ならではの不安が頭をよぎるかもしれません。

この記事では、そんな大人のランチクルーズに関する不安を一つひとつ解消しながら、日本を代表する二大港町、「神戸」と「横浜」のランチクルーズを徹底的に比較します。

神戸の「コンチェルト」や「ルミナス神戸2」、横浜の「ロイヤルウイング」など、人気のクルーズ船の「料理の質」「景色の違い」「料金」「所要時間」などを比べ、「私たち夫婦には、どっちが合っているの?」という疑問に、シニア目線でお答えします。

—テーブルに差し込むきらきらとした**光**、遠くに聞こえる汽笛の**音**…。そんな、座ったまま楽しめる贅沢な時間を安心して計画するために、ぜひ参考にしてみてくださいね。

1. シニアの不安を解消(3つ)

「ランチクルーズ」と聞くと、響きはとても素敵ですが、いざ自分が乗るとなると、シニア世代ならではの「現実的な不安」がいくつか出てきますよね。

「場違いな格好をして、浮いてしまったらどうしよう…」
「若い頃と違って、船酔いしやすくなった気がする…」
「船の中って、階段ばかりで歩きにくくないかしら?」

そうなんです。せっかくの非日常な体験も、こうした小さな不安がストレスになっては、心から楽しめません。

でも、ご安心ください。

実は、神戸や横浜の「ランチクルーズ」で使われる船は、皆さんが想像されているよりもずっと「快適」で「安心」な設計になっていることが多いんです。

服装も、カチッとしたスーツやドレスである必要はまったくありません。そして、船の揺れも、大型の船が港の中(湾内)を航行する限り、皆さんが思っている以上に穏やかだとされています。コーヒーカップの水面が大きく波立つような揺れは、考えにくいでしょう。

この章では、そんなシニア世代の「3大ギモン(服装・揺れ・移動)」について、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。

この「なんだ、大丈夫そうね」という安心感こそが、贅沢な時間を楽しむための、一番の”乗船券”かもしれませんからね。

シニアの「3大不安」とクルーズ船の実際
シニアの不安 ランチクルーズの実際(結論) 理由
① 服装は?
(ドレスコード)
「少しおしゃれなレストラン」程度でOK
(Tシャツ・短パンなどは避けましょう)
ディナークルーズや海外の客船とは違い、ランチは「観光」の一環。清潔感のある装いが最適です。
② 揺れる?
(船酔い)
揺れは比較的少ないとされています
(大型船・湾内航行が多いため)
大型の船が、波の穏やかな「港の中(湾内)」だけを航行することが基本です。台風や強風時を除き、過度な心配は不要なことが多いです。
③ 移動は?
(バリアフリー)
エレベーターが設置されている船が多いです
(※すべての船・すべての階ではありません)
多くの方が乗船するため、主要な階(乗船口・レストラン・トイレ)はエレベーターで移動可能な船が多く見られます。

どうでしょう。少し、安心していただけましたか?

「ランチクルーズ」は、あのタイタニック号のような「特別なハレの日」というよりは、「いつもより、ちょっとだけ贅沢なランチ」という位置づけなんです。

もちろん、最低限のマナーはありますが、シニア世代の皆さんが「気後れ」する必要はまったくありません。

一番大切なのは、「万全の準備」をすることよりも、「リラックスして楽しもう」というお気持ちです。

次の項目からは、この3つの不安を、さらに具体的に掘り下げて解説していきますね。

1-1. 服装・ドレスコード

まず、一番悩ましい「服装」ですね。「ドレスコード」と聞くだけで、なんだか堅苦しく感じてしまいます。

ですが、神戸・横浜の「ランチクルーズ」に関しては、厳格なドレスコードは、まずありません

男性がタキシード、女性がイブニングドレス…なんていう必要は、1ミリもありませんのでご安心ください。

イメージとしては、「夫婦で、ちょっと良いホテルのレストランにランチに行く時の服装」を想像していただければ、まさにそれです。

男性なら、「襟(えり)付きのシャツ(ポロシャツでもOK)」に「スラックス(チノパンでも可)」。夏場以外なら、ジャケットやカーディガンを羽織ると、より素敵ですね。

女性なら、「ブラウス」に「スカート」や「きれいめのパンツ」、あるいは「ワンピース」。

逆に、避けたほうが良いのは、「Tシャツに短パン、サンダル履き」といった、あまりにもカジュアルすぎる服装です。これはマナー違反という以前に、船内の冷房が効いていることが多いので、ご自身が寒くて後悔してしまうかもしれません。

行動のアドバイスとして、一番「浮かない」のは「清潔感」です。高価な服である必要はまったくなく、「シワのないシャツ」「磨かれた靴」といった、ほんの少しの「きちんと感」が、ご自身を一番素敵に見せてくれますよ。

【シニア向け】ランチクルーズの服装目安

◎ おすすめ(浮かない服装) △ 避けたほうが良い服装
男性 ・襟付きのシャツ、ポロシャツ
・スラックス、チノパン
・ジャケット、カーディガン(羽織もの)
・Tシャツ、タンクトップ
・短パン、ジャージ
・サンダル、クロックス
女性 ・ワンピース
・ブラウス、カーディガン
・スカート、きれいめのパンツ
・Tシャツ(ロゴが大きすぎるもの)
・ダメージジーンズ
・ビーチサンダル
共通 「清潔感」と「冷房対策の羽織もの」が鍵 「リゾート」ではなく「レストラン」と考える

1-2. 揺れ・酔い対策

次に、体調に直結する「船酔い」の心配ですね。

「昔は大丈夫だったけど、最近はバスや車でも酔いやすくて…」というお話もよく伺います。

ですが、こちらも結論から言うと、「ランチクルーズでの船酔いは、心配されるほど多くない」とされています。

理由は、2つあります。
1つ目は、「船がとても大きい」こと。
神戸や横浜で使われている船は、「釣り船」や「渡し船」とは比べ物にならない「大型客船」であることが一般的です。船は大きければ大きいほど、重さで安定し、揺れにくくなります。

2つ目は、「航行する場所が『湾内(わんない)』だけ」だからです。
神戸港や横浜港という、「港の中」の、波がほとんど立たない穏やかな海域だけを選んで航行します。外洋(太平洋など)の大きなウネリの中に入っていくことは、まずありません。

ですから、「テーブルの上のグラスの水面が、かすかに揺れているかな?」と感じる程度で、体がぐらつくような揺れは、ほとんどの場合ありません。

それでも心配な方への行動アドバイスです。
1. 予約時に「なるべく船の中央・下層階の席」をリクエストしてみましょう。船は一般的に、端(船首や船尾)や上層階より、中央・下層階のほうが揺れにくい傾向があるとされています。(※リクエストは確約ではありません)
2. 乗船30分~1時間前に、「酔い止めの薬」を飲んでおきましょう。これが一番確実な「お守り」になりますよ。

船酔いしないための3つの対策

  • ① 席を選ぶ:予約時に「揺れが心配なので、なるべく船の中央・下層階の席を」とリクエストしてみる。(※確約は難しい場合もあります)
  • ② 薬を飲む(一番確実):乗船する30分~1時間前に、市販の酔い止め薬を飲んでおくと安心です。
  • ③ 体調を整える:前日の寝不足や、当日の空腹・満腹すぎは、酔いやすさにつながります。体調は万全にして臨みましょう。
  • (万が一酔ったら):デッキに出て、遠くの景色(動かないもの)を眺め、冷たい空気を吸うと楽になります。

1-3. 移動・バリアフリー

最後の不安は、「船内の移動」ですね。

映画などで見る豪華客船は、大きな吹き抜けの階段があったりして、「あれを上り下りするのは大変そう…」と感じるかもしれません。

この点については、船によって「差がある」のが正直なところです。

神戸や横浜の主要な大型船は、エレベーターが設置されていることが多いです

ですから、乗船口(ターミナル)からメインのレストランフロアやお手洗いへの移動は、階段を使わずにスムーズに行けることがほとんどです。

ただし、注意点もあります。
船の一番上にある「展望デッキ(スカイデッキ)」へは、エレベーターが通じておらず、最後のフロアだけ階段でしか行けない、という船は非常に多いです。

また、船内のお手洗いも、入り口に「段差」がある場合がよくあります。これは、船の構造上(防水のため)、どうしても段差ができてしまうんですね。

車椅子をごご利用の方や、杖(つえ)が手放せない方への、最も重要な行動アドバイスです。
予約する前に、必ず「船会社に電話」をしてください。そして、「車椅子(または杖)を利用するが、乗船口からレストランまでの動線はバリアフリーか?」「お手洗いに段差はあるか?」「エレベーターはどの階まで行けるか?」を、具体的に確認しましょう。

船によっては、バリアフリー対応の客室やお化粧室を完備している場合もあります。こうした事前確認が、当日の安心につながりますよ。

船内バリアフリーの確認ポイント(要・事前電話確認)

確認項目 チェック内容 一般的な傾向
エレベーター 主要階(乗船口、レストラン)まで通じているか? 大型船は「設置あり」が多いです
展望デッキ 最上階のデッキまでエレベーターで行けるか? 階段のみ」の場合が多い。
お手洗い レストランフロアにあるか? 入り口の段差は? 各フロアにあり。ただし「入り口に段差あり」の場合が多い。
車椅子対応 バリアフリートイレ、専用スペースの有無。 船による差が大きい。
(バリアフリー対応を強化している船もあります)
キャラクター
「服装は『ちょっと良いレストラン』、揺れは『酔い止めで安心』、移動は『事前に電話確認』。この3つで、不安はほとんど解消できますよ。」

2. 神戸 vs 横浜|早見表

さて、ランチクルーズへの不安が解消されたところで、次は「じゃあ、どこの船に乗る?」という楽しい悩みが出てきますね。

日本の二大港町、神戸と横浜。どちらも魅力的ですが、実は見られる「景色」も、船で味わえる「お料理」も、まったく個性が違うんです。

神戸は、ダイナミックな造船所や、間近に見る飛行機の離発着(神戸空港)が楽しめる「迫力」の景色。

横浜は、ベイブリッジや、みなとみらいの美しいビル群を眺める「ロマンチック」な景色。

お料理も、船によって「フレンチコース」だったり、「鉄板焼」が楽しめたりと、様々です。

この章では、まず「ご夫婦の好みはどちらに近いか?」をひと目で比べていただけるように、両方の港の「代表的な船」と「ランチプラン」を、早見表の形にまとめました。

所要時間や料金の目安も載せていますので、「私たちの旅のスタイルには、どっちが合うかしら?」と、想像しながらご覧ください。

2-1. 神戸|主船と昼プラン

まずは神戸港です。神戸のクルーズ船は、メリケンパークやハーバーランドのすぐ目の前から出航するので、乗船前後の観光もとても便利です。

代表的な船は、優雅な船内で生演奏も楽しめる「コンチェルト」ですね。船内はクラシックで落ち着いた雰囲気で、まさに大人のための空間です。

お料理のジャンルが「フレンチコース」「鉄板焼コース」、そして「神戸グリル&サラダバー」と、選択肢が非常に豊富なのが、神戸(コンチェルト)の最大の特徴です。「今日はフレンチの気分」「主人は鉄板焼が好きだから」と、お二人の好みに合わせられるのが嬉しいですね。

航路は、神戸空港のすぐ近くまで行き、明石海峡大橋を遠くに眺めるコースが一般的。運が良ければ、飛行機が頭上を通る迫力満点の景色に出会えるかもしれません。

神戸の代表的なランチクルーズ(例:コンチェルト)
項目 内容(2025年11月時点の一例)
代表的な船 神戸船「コンチェルト」
料理ジャンル フレンチコース、鉄板焼コース、神戸グリル&サラダバー など
(※選択肢が非常に豊富)
所要時間(目安) 約105分 ~ 120分(プランによる)
料金(目安)
(乗船料+食事代)
約7,700円 ~ 15,000円程度(鉄板焼はより高め)
景色の見どころ 神戸港、造船所、神戸空港(飛行機の離発着)、明石海峡大橋(遠景)
公式サイト(要確認) https://thekobecruise.com/

2-2. 横浜|主船と昼プラン

続いては横浜港です。横浜は、山下公園や赤レンガ倉庫など、ロマンチックな観光地の目の前が乗り場になっています。

こちらの代表格は、赤い絨毯(じゅうたん)が印象的な「マリーンルージュ」です。昔からドラマや歌の舞台にもなっていて、「一度は乗ってみたい」と憧れている方も多いのではないでしょうか。

マリーンルージュのお料理は、本格的な「フレンチコース」が基本。横浜の美しい景色を眺めながら、船内でゆっくりとコース料理をいただく時間は、まさに非日常です。

航路は、みなとみらいのビル群、赤レンガ倉庫、そして何と言っても「横浜ベイブリッジ」の真下をくぐるのがハイライト。神戸の「迫力」とはまた違う、洗練された「都会的な港の景色」を楽しめるのが、横浜の魅力ですね。

横浜の代表的なランチクルーズ(例:マリーンルージュ)
項目 内容(2025年11月時点の一例)
代表的な船 横浜船「マリーンルージュ」
料理ジャンル フレンチコース が基本
(※季節により特別プランあり)
所要時間(目安) 約90分
料金(目安)
(乗船料+食事代)
約7,400円 ~ 11,200円程度(料理ランクによる)
景色の見どころ みなとみらい、赤レンガ倉庫、横浜ベイブリッジ(真下を通過)
公式サイト(要確認) https://yokohama-cruising.jp/
キャラクター
「こう見ると、神戸は『選べる楽しさ(料理)』、横浜は『王道のロマンチック(景色)』という感じですね。ロイヤルウイングが終了したのは、私も残念です…。」

3. どっちがおすすめ?

さて、神戸の「コンチェルト」と横浜の「マリーンルージュ」。どちらも魅力的ですが、ご夫婦の「好み」によって、満足度は大きく変わってきそうです。

例えば、「せっかくなら、目の前でジュージューと焼いてくれる鉄板焼が食べたいわ」というご夫婦もいれば、「やっぱり海の上では、王道のフレンチコースをゆっくり楽しみたい」というご夫婦もいらっしゃいますよね。

景色も同じです。
神戸の、造船所や飛行場といった「港の迫力」にワクワクする方もいれば、横浜の、みなとみらいやベイブリッジといった「ロマンチックな景色」に癒される方もいらっしゃるでしょう。

どちらが「上」ということでは、まったくないんです。

この章では、「お料理」「景色」「料金」「時間」という4つの大切なポイントから、お二人の旅のスタイルに「よりぴったりなのは、どちらか」を、シニア目線でじっくりと比較していきます。

デッキに出たときに頬(ほほ)をなでる、あの潮の香りを想像しながら、「私たちなら、どっちの船でランチをしたいかな?」と、ぜひ話し合いながら読んでみてください。

3-0. 比較基準

まず、比較する「基準」をはっきりさせておきましょう。

若い方のブログだと、「写真映え(インスタ映え)」や「お酒の飲み放題」といった点が重視されがちですが、50代・60代の私たちが知りたいのは、そこだけではありませんよね。

「お料理は、ゆっくり座って味わえるコースか?」「景色は、席からでもちゃんと見えるか?」「料金に見合った、満足感が得られるか?」…そういった、「快適さ」と「」が何より大切です。

そこで、今回はシニア世代の満足度に直結する、以下の4つのポイントに絞って、両者を比べてみることにしました。

行動のアドバイスとして、ご夫婦で「どのポイントを一番重視するか」を、あらかじめ決めておくと、どちらの船がご自分たちに合っているか、答えがすぐに見つかりますよ。

  • ① 料理:ジャンル(フレンチ、鉄板焼など)と、食事のスタイル(コース、ビュッフェなど)。
  • ② 景色:航路で見える主な景色。雰囲気は「迫力系」か「ロマンチック系」か。
  • ③ 料金・プラン:基本的な料金帯。ドリンクや記念日対応はどうか。
  • ④ 所要・航路:所要時間は、シニアにとって長すぎず、短すぎないか。

3-1. 料理(フレンチ/鉄板焼)

旅の最大の楽しみは、やはり「お料理」ですよね。

この点で、両者ははっきりとした違いがあります。

横浜の「マリーンルージュ」は、「本格フレンチコース」が基本。前菜からスープ、お魚、お肉、デザートまで、白いテーブルクロスの上で、一皿ずつゆっくりと提供されます。「海の上で、王道のフレンチ」という、ロマンチックな時間を過ごしたい方には、こちらがぴったりです。

一方、神戸の「コンチェルト」は、「選べる」のが最大の強み
マリーンルージュと同じ「フレンチコース」はもちろん、目の前で焼いてくれる「鉄板焼コース」が選べるのが、大きな特徴です。お肉が焼けるや香りもご馳走(ごちそう)ですよね。

「フレンチのコースは、ちょっと重たいかも…」と感じるシニアの方でも、熱々の鉄板焼なら食べやすい、という方も多いのではないでしょうか。

行動のアドバイスとして、もしご夫婦でお料理の好みが違うなら、神戸の「コンチェルト」をおすすめします。 「私はフレンチ、主人は鉄板焼」と同じ船で別々のコースを選ぶことも可能です(※席が離れる場合があるので要確認)。鉄板焼なら、シェフとの会話も弾みますよ。

料理(ジャンル・スタイル)の比較
神戸(コンチェルト) 横浜(マリーンルージュ)
基本ジャンル フレンチ、鉄板焼、グリル&サラダバー フレンチコース が基本
強み 選択肢が非常に豊富。特に「鉄板焼」が船上で楽しめるのは珍しい。 横浜の景色に合う、王道のフレンチコースに特化している。
シニアへの配慮 温かいものは温かいうちに(鉄板焼)。
好みに合わせて選べる。
一皿ずつ、ゆっくりとしたペースで提供されるため、落ち着いて食事ができる。

3-2. 景色(空港/橋)

窓の外に広がる景色も、クルーズの主役です。

これは、もう「どちらの景色がお好みですか?」という、好みの問題になります。

横浜の「マリーンルージュ」は、まさに「王道の港町ロマン」です。
「みなとみらい」の近未来的なビル群、「赤レンガ倉庫」のレトロな風景、そしてハイライトは「横浜ベイブリッジ」の真下をくぐる瞬間。あの橋を、下から見上げる迫力は、船の上からでしか味わえません。全体的に「美しく整備された都会の港」という印象ですね。

一方、神戸の「コンチェルト」は、「ダイナミックな港の素顔」が見られるのが魅力です。
横浜のような「ベイブリッジ」はありませんが、代わりに「神戸空港」のすぐそばまで航行します。タイミングが合えば、飛行機の離着陸を間近に見ることができ、迫力満点です。また、航路の途中では、大きな船を造っている「造船所(三菱重工など)」のクレーン群も見え、「あぁ、これが本物の港なんだな」と実感できます。

行動のアドバイスです。「これぞ横浜!」という分かりやすい景色や、ロマンチックな雰囲気を重視するなら横浜を。港の活気」や「飛行機・船といった乗り物」がお好きなら、神戸を選ぶと、より楽しめると思いますよ。

景色(見どころ・雰囲気)の比較
神戸(コンチェルト) 横浜(マリーンルージュ)
雰囲気 ダイナミック・迫力 ロマンチック・都会的
主な見どころ ・神戸空港(飛行機の離着陸)
・造船所(クレーン群)
・明石海峡大橋(遠景)
横浜ベイブリッジ(真下を通過)
みなとみらい21(ビル群)
赤レンガ倉庫
こんな方へ 「港の活気」や「乗り物」が好き
(例:飛行機、大きな船)
「これぞ港町」という王道の景色
(例:ベイブリッジみなとみらい

3-3. 料金・プラン

さて、一番現実的な「料金」のお話です。

セクション2の早見表でご覧いただいた通り、一番お手頃なフレンチのランチコースで比べると、神戸(約7,700円~)も横浜(約7,400円~)も、実は大きな差はありません。どちらも「乗船料+食事代」で、8,000円前後から楽しめる、とイメージしておけば良さそうです。

差が出るとすれば、神戸の「鉄板焼コース」など、よりグレードの高いお料理を選んだ場合ですね。

シニア世代が注意したいのは、むしろ「ドリンク代」と「記念日対応」です。
基本的に、プラン料金に含まれているのは「お料理」と「乗船料」だけ。お食事中の「ビール」や「ワイン」、「ジュース」などは、すべて別料金となるのが一般的です。(※プランにより、お水や食後のお茶(コーヒー/紅茶)が含まれる場合もありますが、詳細はプラン確認が必要です)

一方で、ご夫婦の「誕生日」や「結婚記念日」での利用には、どちらの船も非常に協力的です。

行動のアドバイスです。もし記念日で利用されるなら、予約時に必ずその旨を伝えましょう。 横浜(マリーンルージュ)では「アニバーサリープラン」としてケーキや写真がセットになったものがありますし、神戸(コンチェルト)でも、デザートプレートにメッセージを添えてくれるサービスなどがあります。こうした「心遣い」こそ、料金以上の価値がありますよね。

料金・プラン(付帯サービス)の比較
神戸(コンチェルト) 横浜(マリーンルージュ)
料金(目安) 約7,700円 ~ 15,000円超(鉄板焼など) 約7,400円 ~ 11,200円程度
ドリンク代 別料金(アルコール、ソフトドリンク) 別料金(アルコール、ソフトドリンク)
記念日対応 ◎(有料・無料サービスあり)
例:メッセージプレート、花束手配など
◎(アニバーサリープランあり)
例:ケーキ、写真撮影、花束セットなど

3-4. 所要・航路

意外と見落としがちなのが、「所要時間」です。

シニア世代にとって、「長すぎる」のは疲れてしまいますし、「短すぎる」のも慌ただしくて味気ないですよね。

この点、横浜の「マリーンルージュ」は約90分(1時間半)と、比較的コンパクト。
ベイブリッジをくぐり、港の見どころを効率よく巡って戻ってくる航路で、「ランチクルーズを体験してみたい」という入門編や、クルーズ前後に「横浜観光の時間もたっぷり取りたい」という方には、ちょうど良い長さです。

一方、神戸の「コンチェルト」は約105分~120分(1時間45分~2時間)と、少し長め。
神戸空港沖や明石海峡大橋の遠景まで、よりゆったりと航海します。食事も鉄板焼など、時間をかけて楽しむものが多いので、この「ゆったり感」が神戸の魅力とも言えます。「観光はそこそこにして、船の時間をメインに楽しみたい」という方に向いています。

行動のアドバイスです。もし「船酔いが少しでも心配」という方は、所要時間の短い横浜(90分)のほうが、体への負担は少ないかもしれません。 逆に、「せっかく乗るなら、ゆっくり食事も景色も楽しみたい」という方は、神戸(120分)のほうが満足感が高いでしょう。

所要時間・航路(ペース)の比較
神戸(コンチェルト) 横浜(マリーンルージュ)
所要時間 約105分 ~ 120分 約90分
ペース ゆったり型 見どころ凝縮型
シニアへの影響 船の時間をメインに、食事もゆっくり楽しめる。 疲れすぎず、前後の観光時間も確保しやすい。

3-5. 【結論】50代・60代

さて、ここまで4つのポイントで比較してきましたが、いかがでしたでしょうか。

どちらの船も、シニア世代が安心して楽しめる、素晴らしいランチクルーズであることは間違いありません。

その上で、あえて「50代・60代夫婦におすすめはどっち?」と聞かれたら、私は「ご夫婦の、その日の『気分』と『好み』でお選びください」とお答えします。

「お父さん、今日は熱々の鉄板焼が食べたいわね。飛行機も見えると楽しそう」
「お母さん、たまにはフレンチのコースで、ベイブリッジを眺めるのもいいね」

そんな会話をしながら、決めていただくのが一番です。

あえて結論を出すならば、
お料理の『選べる楽しさ』と『ダイナミックな景色』を、少し長めに楽しみたいなら、神戸(コンチェルト)
『王道のフレンチ』と『ロマンチックな景色』を、効率よくコンパクトに楽しみたいなら、横浜(マリーンルージュ)
と、言えるのではないでしょうか。

最後の行動アドバイスです。どちらを選んでも、当日はぜひ、食事の前後で一度「デッキ」に出てみてください。 レストランの窓越しとは違う、直接肌に感じる潮風の手触りと、遠くに聞こえるカモメの鳴き声が、何よりの思い出になりますよ。(※ただし、揺れやすいので、船酔いが心配な方は無理せず、船内からお楽しみください)

【結論】50代・60代夫婦におすすめなのは?
こんなご夫婦には「神戸(コンチェルト)」 こんなご夫婦には「横浜(マリーンルージュ)」
  • 料理の好み:鉄板焼やグリル料理が食べたい。フレンチも選びたい。
  • 景色の好み:飛行機や造船所など「港の活気」が見たい。
  • 時間:せっかくなら2時間近く「ゆったり」船上で過ごしたい。
  • 料理の好み:「王道のフレンチコース」をゆっくり楽しみたい。
  • 景色の好み:ベイブリッジや「みなとみらい」の景色が見たい。
  • 時間:90分で「効率よく」楽しみ、前後の観光も重視したい。
キャラクター
「うーん、悩みますね…。私はお肉が好きなので『神戸の鉄板焼』、でも横浜の『ベイブリッジ』も捨てがたいです。ご夫婦で好みが分かれたら、今回は神戸、次は横浜、というのも素敵ですね。」

4. 前後に“歩かず”楽しむ周辺

さて、乗船する船が決まったら、次に考えたいのが「乗船前」と「乗船後」の過ごし方です。クルーズは、乗っている時間だけが旅ではありませんからね。

ですが、50代・60代の私たちが一番気をつけたいのも、実はこの「前後」の時間なんです。

「乗り場までの道が分かりにくくて、炎天下を歩き回ってしまった…」
「クルーズが終わって船を降りたら、疲れてしまって座る場所がどこにもなかった…」

せっかく船の上で「座ったまま」優雅な時間を過ごしたのに、その前後に疲れてしまっては、本当に元も子もありません。

神戸のハーバーランドも、横浜のみなとみらいも、どちらも海沿いの非常に開けた、気持ちの良い場所です。でも、それは裏を返せば、「日陰が少なく、意外と歩く距離が長い」ということでもあります。

そこでこの章では、「観光」という視点を一度リセットして、「いかに歩かないか」「どこで賢く休憩できるか」という、シニア世代の体力維持に特化した周辺の楽しみ方をご紹介します。

カフェの窓から、これから乗る船や港を行き交う船を眺める。テーブルに差し込むやわらかなを感じながら、無理のない計画を立てる。その「ゆとり」こそが、クルーズ旅行を成功させる鍵なんです。

【シニア向け】クルーズ前後で疲れないための共通ルール

  • ① 乗り場までのアクセスは「タクシー」が最強
    最寄りの駅(JR神戸駅や元町駅、桜木町駅など)からクルーズターミナルまでは、微妙に歩く距離(徒歩10分~15分)があります。天候や体調を考慮し、迷わずタクシーを使いましょう。
  • ② 観光は「クルーズ」と「どちらか片方」に絞る
    「午前中に観光して、午後からクルーズ」または「クルーズを楽しんだ後、少しだけ観光」など、活動をどちらか片方に絞り、体力を温存しましょう。
  • ③ 「座れる場所」を事前に把握しておく
    ターミナルビルの中、隣接する商業施設、ホテルラウンジなど、「もし疲れたら、あそこのソファで休もう」という場所を決めておくと、心に余裕が生まれます。

神戸も横浜も、幸いなことに、クルーズ船の乗り場は「大型商業施設」や「ホテル」に隣接していることがほとんどです。

この「隣の建物」を、単なる通り道ではなく、「巨大な休憩所」として賢く利用するのが、大人の楽しみ方です。

例えば、乗船時間の1時間半前に現地に着いてしまう。でも、ターミナルの待合室は混んでいます。

そんな時、隣のショッピングモール(神戸のumieなど)やホテル(横浜のニューグランドなど)の静かなカフェに入り、コーヒーを一杯。あの、淹れたてのコーヒーのいい香りに包まれると、気分も落ち着きますよね。

船が見える窓側席に座れたら最高です。「あら、あの船かしら」と眺めながら、時間ギリギリまで涼しい(あるいは暖かい)場所で過ごす。

お土産を買うために歩き回るのではなく、優雅に「待つ」。
これこそ、私たちが目指すべき「歩かない」クルーズの楽しみ方ではないでしょうか。

4-1. 神戸(ハーバーランド)

神戸の「コンチェルト」乗り場は、まさに「ハーバーランド」の中心地、「umie(ウミエ) モザイク」の1階にあります。目の前には「umie」のノースモール・サウスモール棟も広がり、非常に便利です。

(※以前は「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」の2階から「ルミナス神戸2」が運航していましたが、現在は運航形態が異なり、「コンチェルト」の乗り場とは場所が違いますので、混同しないようご注意ください。)

umieはとても便利なんですが、これがまた、広いんです…。

特に、海に面した「モザイク」は、レストランや雑貨屋さんが並んでいて楽しいのですが、観光客で混雑しがち。お土産を探して端から端まで歩くと、クルーズに乗る前なのに、もうクタクタになってしまいます。

シニア向けの行動アドバイスとして、umieは「通り抜ける」か「ピンポイントで休む」場所と割り切りましょう。

クルーズの前に時間があるなら、モザイク2階の海側デッキにあるカフェ(例:スターバックス)で、船を眺めながら休むのが理想です。ただ、ここは人気で混雑していることも多いです。

そんな時の「穴場」は、意外にもJR神戸駅側の「サウスモール」や「ノースモール」の館内です。海は見えませんが、各階の通路脇にソファやベンチがしっかり設置されており、静かに座って時間調整をするには最適なんですよ。

神戸(ハーバーランド)で「歩かず」休憩するスポット

  • ① 乗り場ビル内(最も楽)
    • umie モザイク(1F・2F):コンチェルト乗船ターミナル(1F)の待合室。または、モザイク内のカフェ(例:2Fのスターバックスなど)で、船を眺めながら休むのもおすすめです。
  • ② 景色重視・隣接ホテル
    • 神戸メリケンパークオリエンタルホテル(3Fラウンジ『VIEW BAR』):乗り場(モザイク)の対岸にあるホテルです。ラウンジは「ティータイム営業(例:12:00~18:00)」もあり、最も静かで優雅に時間調整ができます。(※時期により変動するため、最新の営業時間を公式にご確認ください)
  • ③ 休憩・体力温存重視(穴場)
    • umie サウスモール/ノースモール(各階通路):館内のソファ・ベンチ。空調の効いた屋内で、静かに座って休めます。
  • (参考)タクシー乗り場
    • umie モザイク1階、またはノースモール1階(JR神戸駅側)にあります。クルーズ後は、ここから乗るのが一番スムーズです。

4-2. 横浜(赤レンガ・HH)

横浜の「マリーンルージュ」乗り場は、「山下公園乗船場(氷川丸のとなり)」です。

山下公園は、海からの潮がとても気持ちよく、ベンチもたくさんあるので、一見、休憩には困らなそうです。でも、夏の炎天下や、冬の冷たい風が吹き付ける日は、屋外のベンチはかえって体力を奪ってしまいます。

そして、周辺には「赤レンガ倉庫」「横浜ハンマーヘッド(YOKOHAMA HAMMERHEAD)」「大さん橋」「中華街」と、魅力的な観光地がたくさんありますが…これらが、シニアの徒歩圏内かと言うと、すべて「微妙に遠い」のが横浜の悩ましいところ。

「赤レンガ倉庫まで歩いて、そこからハンマーヘッドへ…」なんて計画を立てたら、もうクルーズどころではありません。

シニア向けの最も優雅で確実な行動アドバイスは、乗り場の真向かいにある「ホテルニューグランド」のお茶時間を利用することです。

本館1階のロビーラウンジ『ラ・テラス』は、まさに「ザ・横浜」というべきクラシックで格調高い空間。ここでコーヒーやケーキをいただきながら、乗船時間までの30分~1時間を過ごす。これこそ、歩き回るより何倍も贅沢(ぜいたく)な、大人の時間調整です。

もし、どうしても赤レンガ倉庫などに行きたい場合は、クルーズとは「別の目的」として、周遊バス「あかいくつ」号(「山下公園前」バス停から「赤レンガ倉庫前」や「ハンマーヘッド」へ直通可)やタクシーを使い、ピンポイントで移動しましょう。

横浜(山下公園周辺)で「歩かず」休憩するスポット

  • ① 乗り場の目の前(最も優雅)
    • ホテルニューグランド本館1F『ラ・テラス』:マリーンルージュ乗り場から横断歩道を渡ってすぐ。クラシックホテルのロビーラウンジで、静かに時間調整ができます。
  • ② 乗り場の目の前(カジュアル)
    • 「HAPPY LAWSON」山下公園店:乗り場に一番近いコンビニ。イートインスペースが併設されており、飲み物片手に気軽に座って休めます。
  • ③ 天気が良い日限定
    • 山下公園内のベンチ:海を眺めながら過ごせますが、日差しや天候に左右されます。
  • ④ 移動が前提(タクシー・バス推奨)
    • 横浜赤レンガ倉庫:乗り場から徒歩15分~20分程度。周遊バス「あかいくつ」号(「赤レンガ倉庫前」バス停)の利用が便利。ベンチは多いですが、施設内も広いです。
    • 横浜ハンマーヘッド:乗り場から徒歩20分以上はかかります。「あかいくつ」号(「ハンマーヘッド」バス停)での移動が便利。カフェは多いですが、混雑も予想されます。
キャラクター
「クルーズの前後に歩き回るのは、本当に禁物です。私のおすすめは、神戸なら『umie』の中のソファ、横浜なら『ホテルニューグランド』のラウンジで、優雅にお茶をして待つことですね。」

5. 予約のコツとFAQ

さあ、乗ってみたい船がだんだん決まってきましたね。

いよいよ予約ですが、その「最後のひと押し」の前に、シニア世代だからこそ確認しておきたい、細かな疑問点がいくつかあると思います。

「せっかくなら、絶対に窓側の席がいいけれど、指定できるのかしら?」
「夫婦の記念日で使いたいけど、何か特別な対応はしてもらえる?」
「一番心配なのは、当日の天気。雨や風が強かったら、どうなるの?」
「セクション1でも触れたけど、車椅子のことを、もう一度ちゃんと聞いておきたい」

そうですよね。こうした現実的な疑問が解消されてこそ、心から安心して当日を迎えられます。

この最後の章では、そうした「予約」と「当日」にまつわる具体的な質問に、Q&A形式でお答えしていきます。

予約前の「よくある質問」早見表
シニアの疑問 答え(要点) 対応のポイント
① 窓側席は? 「確約不可」が一般的だが、「確約プラン」が稀にある。 早めの予約と、予約時の「理由付き備考欄」+「電話での再掲(リクエスト)」が鍵です。
② 記念日は? 対応可能(有料・無料あり) 専用プランを選ぶか、予約後に電話で相談するのが一番確実です。
③ 天候は? 雨天・降雪時は通常は運航台風・強風・濃霧などで安全確保が難しい場合は欠航も。 自己都合(雨だから)のキャンセルは、規定料金が発生します。天候不良による欠航は、全額払い戻しが一般的です。
④ 車椅子は? 予約前の「電話確認」が必須 船ごとにエレベーターの範囲やトイレの段差が全く異なるため、ネット予約だけで済ませてはいけません。

いかがでしょうか。

特に「窓側席」と「記念日」は、予約時の「ひと手間」をかけるかどうかで、当日の満足感がまったく変わってきます。

予約サイトのボタンを押して終わり、ではなく、もし特別なご希望がある場合は、予約後に一度、船会社に電話をかけてみてください。

電話口のスタッフの方の「承知いたしました、リクエストとして承ります」という、あの安心させてくれる音(声)を聞くだけで、当日の楽しみがぐっと増しますよ。

それでは、一つひとつ詳しく見ていきましょう。

5-1. 予約時期・窓側席

「せっかくのクルーズなのに、窓から遠い真ん中の席だったら、がっかり…」
そうですよね。窓の外に流れる景色や、水面に反射するこそが、クルーズの一番のご馳走(ごちそう)ですから、これは譲れないポイントだと思います。

この点については、「席の場所は当日ご案内(指定不可)」となっているのが一般的です。当日の予約人数やグループ構成(2名席、4名席など)によって、パズルのように席を割り当てる必要があるためです。

ただし、旅行サイト(一休.comレストランなど)では、料金が少し高めになりますが、「窓側席確約プラン」が稀に用意されていることもあります。確実性を求めるなら、これが一番です。

確約プラン以外で、窓側席を勝ち取るための、一番確実な行動アドバイスは、「①できるだけ早く予約し、②予約時に『理由を添えて』窓側席を強く希望し、③予約後に『電話で念押し』すること」です。

船会社も、リクエストの順番(予約順)や、理由(「結婚記念日で」など)を考慮して、できる限り希望に沿うように配席してくれることが多いためです。

「1ヶ月前の予約」と「前日の予約」では、窓側になる確率がまったく違ってきます。特に、気候の良い春や秋の土日は、数週間前から予約が埋まり始めますので、日程が決まったら、一日でも早く押さえてしまいましょう。

「窓側席」をリクエストするコツ

  • ① とにかく早く予約する:人気の日程(土日、連休)は、1ヶ月前には予約を済ませておくと安心です。
  • ② 「窓側確約プラン」を探す:旅行サイト(一休.comレストランなど)で、稀に「窓側席確約」のプランが出ていることがあります。料金は少し高めですが、一番確実です。
  • ③ 備考欄に「理由」を添える(ネット予約時):予約フォームの備考欄に、単に「窓側希望」と書くのではなく、「(例)結婚40周年の記念旅行のため、ぜひ窓側の席を希望します」と、理由を添えると、配慮してもらえる可能性が高まります。
  • ④ 電話で再掲(リクエスト)する(推奨):ネット予約完了後、予約確認も兼ねて船会社に一度電話をし、「〇日に予約した〇〇ですが、記念日で利用するため、窓側席をリクエストしたいのですが…」と、**改めて口頭で伝える(再掲する)**のが、最も効果的だとされています。

5-2. 記念日対応

ご夫婦の誕生日、結婚記念日、あるいは親御様の還暦や古希のお祝い…。ランチクルーズは、そうした「ハレの日」の舞台として、これ以上ないほどぴったりな場所です。

そして、船会社側も、そうした「お祝いごと」の対応には非常に慣れています。

神戸(コンチェルト)も横浜(マリーンルージュ)も、有料・無料の様々なオプションを用意してくれていますよ。

例えば、デザートのプレートに、チョコレートで「Happy Birthday」とメッセージを書いてくれたり(無料または数百円)、有料で「ホールケーキ」や「花束」を、席まで持ってきてくれたりします。

横浜(マリーンルージュ)には、ケーキや写真撮影がセットになった「アニバーサリープラン」も用意されています。

記念日を成功させるための行動アドバイスは、こうしたサービスを「当たり前」と思わず、「事前にしっかり相談・予約する」ことです。

当日に「今日、誕生日なんだ」と言っても、ケーキや花束は用意できません。最低でも3日~1週間前までに、予約時にリクエストするか、電話で「こういうお祝いをしたい」と具体的に相談しましょう。

記念日対応の比較(一例)
サービス(例) 神戸(コンチェルト) 横浜(マリーンルージュ)
専用プラン ◎(記念日プランあり) ◎(アニバーサリープランあり)
ホールケーキ手配 ◎(有料/要事前予約) ◎(有料・プランに含む/要事前予約)
メッセージプレート ◎(無料・有料あり/要事前予約) ◎(無料・有料あり/要事前予約)
花束・ブーケ手配 ◎(有料/要事前予約) ◎(有料/要事前予約)
船内での生演奏 ◎(リクエスト演奏が可能な場合あり) △(BGMやイベント演奏が中心)

5-3. 天候・キャンセル

こればっかりは、神様に祈るしかないのが「お天気」ですよね。

まず、シニア世代の方がよく勘違いされているのですが、「雨天」や「降雪時」だけでは、船は通常、運航します。

お食事はすべて船内のレストランですし、窓の外の景色も、雨は雨で、風情があります。自己都合で「雨だから、気分が乗らないからキャンセルしたい」と言うと、残念ながら、規定のキャンセル料(前日や当日だと50%~100%)がかかってしまいます。

では、どういう時に欠航になるのか?
それは、安全な運航ができないと船長が判断した時、つまり「台風、強風、濃霧などで安全確保が難しい場合」です。

この場合は「船会社都合の欠航」となりますので、もちろんキャンセル料はかかりません。全額払い戻し、または別の日への振替(ふりかえ)を案内されます。

当日の朝、天候が怪しい(風が強すぎる、霧が濃すぎる)と感じた時の行動アドバイスです。
「きっと運休だろう」と自己判断して乗り場に行かないのは、一番危険です(もし運航していたら、無断キャンセル扱いになってしまいます)。

家を出る前に、必ず「船会社の公式サイト」を見るか、「運航状況ダイヤル(自動音声)」に電話をかけてください。 そこで「本日は通常通り運航します」と確認してから、向かうようにしましょう。

天候とキャンセルのルール

  • 雨天・降雪時の場合
    • 通常、運航します。
    • → この理由で自己都合キャンセルすると、キャンセル料が発生します。
  • 欠航・航路変更の場合
    • 台風、強風、濃霧などで安全確保が難しい場合
    • → 船会社から連絡があるか、公式サイトで告知されます。
    • → この場合は、キャンセル料は発生しません(全額払い戻し、または振替)。
  • 自己都合キャンセルの場合
    • → キャンセル規定は船会社により異なります。(例:〇日前から30%、前日50%、当日100%など)
    • ※予約サイト経由の場合、船会社の規定より予約サイトのキャンセル規定が優先される場合があるため、予約元の規定を必ずご確認ください。

5-4. 車椅子・設備

セクション1-3でも触れましたが、バリアフリー対応については、船によって本当に「差」がありますので、最も注意が必要です。

「たぶん、エレベーターくらいあるだろう」
「お手洗いも、車椅子で入れるのが普通よね」
…という「思い込み」は、船旅では通用しない場合があります。

船は「動く建物」であり、防水のための「段差(敷居)」が、客室やお手洗いの入り口にどうしても存在することが多いのです。

エレベーターも、レストラン階には行けても、景色の良い最上階のデッキには行けない(階段のみ)、という船がほとんどです。

車椅子をご利用の方、杖(つえ)や歩行器がご必要な方が、失敗しないための、たった一つの、そして最強の行動アドバイスです。

「インターネットで予約を完結させず、必ず、予約する前に『船会社に電話』をしてください。」

そして、下のチェックリストにあるような質問を、一つひとつスタッフの方に確認してください。

親身になって、「そのお車椅子の幅ですと、こちらの席(入口に近い席)をご用意しますね」「あいにく、お手洗いの入り口に5cmほどの段差がございますが、介助の方がいらっしゃれば…」と、プロの視点で、当日の流れを具体的にシミュレーションしてくれるはずです。

【必須】予約前の「電話確認」チェックリスト(車椅子・杖をご利用の方)

  • □ 車椅子(または杖)を利用する者がいることを伝える。(車椅子の種類・幅も伝えると確実)
  • □ 乗船ターミナルから「乗船口」までの動線に、スロープなどはあるか?
  • □ 乗船口から「レストランの客席」まで、エレベーターで段差なく移動できるか?
  • □ 席の近くに、車椅子(または杖)を置くスペースはあるか?
  • □ レストランフロアの「お手洗い」は、車椅子で入れるバリアフリー対応か?
  • □ (もし対応トイレがない場合)お手洗いの入り口に、段差は何cmくらいあるか?
キャラクター
「『窓側』と『記念日』は、予約後の『電話で念押し』が効きますよ。そして『車椅子』と『天候(風)』は、『電話で事前確認』が必須です。このひと手間で、当日の安心感がまったく違いますからね。」

6. まとめ

「神戸」と「横浜」、二大港町のランチクルーズ徹底比較、いかがでしたでしょうか。

「服装は、意外と気楽でいいのね」
「船の揺れも、大型船で湾内なら安心できそう」
「車椅子や杖のことは、電話で聞けばいいんだ」

この記事を通して、シニア世代の皆さんが抱えていた「3つの不安」が、少しでも軽くなっていたら嬉しいです。

ランチクルーズの一番の魅力は、何と言っても「“歩かずに”“座ったまま”で、最高の非日常が味わえる」こと。

観光地を歩き回る体力はもうないけれど、美しい景色と美味しいお料理は、ちゃんと楽しみたい…。そんな、50代・60代からの「大人のわがまま」を、完璧に叶えてくれる場所なんです。

テーブルに差し込む、海面に反射したきらきらとした
遠くに響く、船の汽笛の「ボーッ」という低い
デッキに出たときに、頬をなでる潮手触り

これらすべてが、座ったまま楽しめるのですから、これほど贅沢なことはありません。

お料理の「選べる楽しさ」と「港の迫力」を重視するなら、神戸(コンチェルト)。
「王道のフレンチ」と「ロマンチックな景色」を重視するなら、横浜(マリーンルージュ)。

どちらを選んでも、きっと「乗ってよかった」と思えるはずです。

大切なのは、「5. 予約のコツとFAQ」でお話ししたように、「窓側席」や「記念日」のリクエストは、予約時にしっかり「伝える」こと。そして、当日は「4. 前後に“歩かず”楽しむ周辺」のように「歩き回らない」ゆとりのある計画を立てること。

この「賢い準備」と「ゆとり」こそが、シニアの旅を最高のものにしてくれます。

この記事が、あなたの大切な人との、記憶に残る「ちょっと贅沢なランチ」のお手伝いになれば幸いです。

【シニア向け・ランチクルーズ成功の最終チェックリスト】

  • 服装は決まりましたか?
    (「清潔感のある、ちょっと良いレストランへ行く服」でOK。冷房対策の羽織もの一枚を忘れずに。夏は日除け・水分、冬は防寒を。屋外デッキは季節の影響が大きいです
  • 揺れが心配なら「酔い止め薬」を買いましたか?
    (乗船30分~1時間前に飲むのが、一番安心できる「お守り」です)
  • 車椅子・杖をご利用の場合、「船会社へ電話確認」は済みましたか?
    (ネット予約だけで済ませず、必ず「段差」「エレベーターの範囲」を確認しましょう)
  • 予約時、「窓側席」や「記念日」のリクエストを伝えましたか?
    (「早めの予約」+「備考欄への理由付き記入」+「電話での念押し」が鍵です)
  • 当日の運航可否を確認しましたか?
    (出発前に公式サイトや運航状況ダイヤルで「通常運航/欠航」を確認)
  • キャンセル規定の主体を確認しましたか?
    (公式予約か予約サイト経由かで適用規定が異なります)
  • 乗船前後の「歩かない計画」は立てましたか?
    (ターミナル周辺のカフェやホテルのラウンジなど、「座って待てる場所」を確保しておきましょう)

「座ったまま楽しめる贅沢」がお好みなら、きっとこんな旅も気に入っていただけるかもしれません。
当ブログでは、シニア世代が「快適に」楽しめる、旅とグルメの情報をこれからもご紹介していきます。

キャラクター
「神戸と横浜、どちらも素敵ですよね。服装や揺れも、思ったより心配ないことがわかると安心です。ぜひ、素敵な船旅の計画を立ててみてください。」