最終更新:2025年11月8日

関西や中部エリアから、新幹線で気軽に行ける次の旅行先として、「広島・宮島・倉敷」はとても魅力的ですよね。

海に浮かぶ「厳島神社」の荘厳(そうごん)な姿や、歴史を学ぶ「原爆ドーム」。そして、白壁の町並みが美しい「倉敷美観地区」。

「宮島のあなご飯」や「広島のお好み焼き」といった、美味しいグルメも外せません。

ただ、いざ「2泊3日」でこの3都市を巡ろうと計画を立てると、シニア世代ならではの不安が出てきませんか?

「新幹線を降りた後、広島から宮島、倉敷への乗り換えや移動が複雑そう…」
「2泊分のスーツケース(荷物)を持ったまま、人混みや階段を移動するのは大変…」
「宮島や倉敷って、結局すごく歩くんじゃないかしら?」
「2泊するなら、広島と倉敷、どっちに泊まるのが一番楽なの?」

この記事では、まさにそんな50代・60代のご夫婦の不安を解消するため、体力を温存しながら「快適に」巡ることを最優先にした、「ゆったり2泊3日モデルコース」をご提案します。

スーツケースの負担を最小限にする「荷物対策」のコツから、行列を避けて「座って食べられる」グルメ情報、そしてシニアにとって一番楽な「宿泊地の選び方」まで、徹底的に解説します。

—焼きたてのお好み焼きの香ばしい匂いや、倉敷川のやわらかなを想像しながら、無理のない完璧な旅の計画を一緒に立てていきましょう。

1. 出発前の準備(荷物配送・切符・ロッカー)

シニア世代の「広島・宮島・倉敷 2泊3日」の旅は、出発する前に、その「快適さ」の8割が決まっていると言っても過言ではありません。

一番の強敵は、観光地までの「距離」ではありません。
それは、「2泊3日分のスーツケース(荷物)」です。

新幹線の網棚に重い荷物を上げ下げし、混雑する広島駅でロッカーを探し回り、宮島口の階段でスーツケースを持ち上げる…。考えただけで、旅に出るのが億劫(おっくう)になってしまいますよね。

逆に言えば、この「荷物問題」さえ解決してしまえば、旅の負担は劇的にゼロに近くなります。

この最初の章では、「歩かない」旅を実現するための、最も重要な「出発前の準備」を3つのポイントに絞って解説します。

この「ひと手間」が、当日の快適さを生む、何よりの”お守り”になりますよ。

【出発前にすべき】3つの準備とメリット
準備すること 具体的な対策(推奨) 得られるメリット
① 荷物(スーツケース) 宿泊するホテルへ「宅配便で事前配送」する。 当日、手ぶらで新幹線に乗れる。
駅のロッカーを探す手間と体力が「ゼロ」になる。
② 切符(JR・新幹線) 地元の駅(みどりの窓口など)で、「全旅程ぶん」を事前に購入しておく。 広島駅や倉敷駅の混雑した券売機に並ぶ必要が一切なくなる。
③ ロッカー(サブバッグ用) 広島駅・倉敷駅の「コインロッカーの場所」を、地図で事前に把握しておく。 「ロッカーはどこ?」と、重い荷物を持って駅構内をさまよう体力を消耗しない。

いかがでしょうか。
特に、①の「スーツケースの事前配送」は、この旅の快適さを決める、最も重要な「最適解」だと私は思います。

2泊3日の大きなスーツケースを引きずりながら、広島駅で新幹線からJR山陽本線へ乗り換え、さらに宮島口でフェリー乗り場まで移動する…。これは、想像を絶する重労働です。

行動のアドバイスとして、ヤマト運輸やゆうパックの「往復宅急便」を利用しましょう。
行きは「自宅→ホテル」、帰りは「ホテル→自宅」で手配します。

ホテルにチェックインした時、すでにお部屋に自分のスーツケースが届いている。あの安心感と身軽さを一度体験すると、もう荷物を持って旅行するのが嫌になるほど快適ですよ。

【スーツケース事前配送】の具体的な手順

  • 1. ホテルに電話連絡する
    • 予約したホテル(例:ホテルグランヴィア広島など)に電話し、「〇月〇日から2泊する〇〇(予約者名)ですが、事前に荷物(スーツケース)を宅配便で送っても良いですか?」と、必ず一本連絡を入れます。
  • 2. 伝票(送り状)を正しく書く
    • 伝票の「品名」や「備考欄」に、「宿泊日(〇月〇日~2泊)」「予約者名(フルネーム・フリガナ)」を、必ず明記します。
  • 3. 発送する
    • 宿泊日の「前日」または「2日前」の到着を指定して、ヤマト運輸やゆうパック(コンビニ持ち込み、集荷)で発送します。

次に、「切符の事前購入」です。
広島駅や岡山駅(倉敷への乗換駅)は、巨大なターミナル駅です。券売機や窓口は、観光客やビジネス客で常に行列ができています。あの人混みの中で、「ええと、宮島口までは…」と路線図を見上げるのは、かなりのストレスですよね。

行動のアドバイスは、お近くのJRの駅(みどりの窓口)で、暇(ひま)そうな平日の昼間に、すべて買ってしまうことです。
「この日程で、広島と宮島と倉敷に行きたい」と相談すれば、窓口の方が、一番安くて効率の良い買い方(例:乗車券の連続利用など)も提案してくれますよ。

【事前に購入すべき】切符のリスト(一例)

  • 新幹線(往復): [ご地元の駅] ⇔ 広島駅
  • JR(往復): 広島駅 ⇔ 宮島口駅 (1日目用)
  • JR+新幹線(往復): 広島駅 ⇔ 倉敷駅 (2日目用 ※岡山駅経由が一般的です)

最後の準備が、「コインロッカーの場所の把握」です。
スーツケースはホテルに送っても、当日の行動に必要な「サブバッグ(ボストンバッグなど)」はありますよね。

例えば、2日目に広島から倉敷へ行く時、このサブバッグを広島駅のロッカーに預けてしまえば、倉敷観光は「貴重品だけのポシェット一つ」で、身軽に動けます。

でも、いざ当日、「ロッカーはどこ?」と広い広島駅構内をさまようのは、体力の無駄遣い。

行動のアドバイスとして、駅の「構内図(フロアマップ)」を事前にネットで見て、「新幹線改札の近くだな」と、おおよその場所に見当をつけておきましょう。
(※具体的なロッカーの場所やサイズは、「6-4. 広島駅・倉敷駅の『コインロッカー』サイズ早見表」で詳しく解説しますね)

キャラクター
「『荷物を先に送る』『切符を先に買う』。たったこれだけですが、当日の“疲れ”と“ストレス”が、本当にゼロに近くなるんです。シニア旅の、一番大切な準備ですよ!」

2. シニア向け広島・宮島・倉敷旅「3つの鉄則」

出発前の準備(1. 出発前の準備)、お疲れさまでした。荷物や切符の手配が済んだら、次は旅の「戦略」です。

広島、宮島、倉敷。この3都市は、地図で見ると「新幹線沿線」にまとまっているように見えますが、実際には、それぞれが微妙に離れており、乗り換えも発生します。

シニア世代の旅で一番やってはいけないのが、「毎日ホテルを変える」こと。

「1日目は広島、2日目は宮島の旅館、3日目は倉敷に泊まろう」…これは、旅慣れた若い方なら良いかもしれませんが、私たち世代には「疲労」しかもたらしません。

スーツケースの車輪が、駅の固い床を転がる「ガラガラ」という、あの。あの音を聞きながら、毎日荷造り(パッキング)と荷解(ほど)きを繰り返し、重い荷物を持って駅の階段を上り下りする…。

そんな「荷物中心」の旅ではなく、「ご夫婦の体力を温存する」ことを最優先にした、快適な旅の「3つの鉄則」をご紹介します。

このルールを守るだけで、旅の快適さは劇的に変わりますよ。

【シニア向け】広島・宮島・倉敷 2泊3日を快適にする「3つの鉄則」

  • 鉄則① 宿泊は「広島駅直結ホテル」に連泊が最適
    → 毎日宿を変えず、「拠点(ベースキャンプ)」を1箇所に定める。
  • 鉄則② 荷物(スーツケース)は持って歩かない
    → 「出発前の配送(1. 出発前の準備)」と「ホテルの活用」で、観光中は手ぶらが基本。
  • 鉄則③ 移動は「新幹線・JR+タクシー」を中心に
    → 体力を消耗する「路面電車」や「バス」は極力避け、速さと快適さを優先する。

この3つ、すべてつながっているんです。

「広島駅」に連泊(鉄則①)するからこそ、スーツケースを部屋に置いたまま(鉄則②)、身軽に「JR」で宮島や倉敷へ日帰り(鉄則③)できる、というわけですね。

もし、風情があるからと「宮島の旅館」に泊まったら、翌朝、あの重いスーツケースを持ってフェリーに乗り、JRに乗り換え、さらに倉敷まで移動…という、考えただけでも疲れてしまう行程が待っています。

「風情」よりも「快適さ」。これが、シニア世代の旅を成功させる、何よりの秘訣(ひけつ)です。

2-1. 鉄則①:宿泊は「広島駅直結ホテル」に連泊が最適

これが、今回の旅で最も重要な「最適解」です。

2泊3日の旅で、宿を2回(広島泊と倉敷泊など)変えると、どうなるか。
1. チェックアウトのたびに、朝から荷造り(パッキング)が必要。
2. 重いスーツケースを、次の目的地まで引きずって移動する。
3. 次のホテルに着いても、15時のチェックインまで荷物を預けるだけ。

この「荷物のための移動」に、旅の貴重な時間(2~3時間)と、体力の大部分を奪われてしまいます。

その点、「広島駅直結ホテル」(例:ホテルグランヴィア広島など)に「2連泊」すれば、すべてが解決します。

「広島駅」は、
・新幹線が停まる「玄関口」
・宮島(JR宮島口駅)への「出発点」
・倉敷(岡山経由)への「出発点」
という、今回の旅の「ハブ(中心地)」です。

行動のアドバイスとして、倉敷の美観地区の素敵な宿に惹(ひ)かれたとしても、ぐっとこらえて「広島駅連泊」を選んでください。
チェックインさえ済ませれば、2日目も3日目も、お財布と携帯電話だけ入れた小さなポシェット一つで、宮島へも倉敷へも「日帰り」で出かけられます。この「身軽さ」が、旅の後半の疲れをまったく違うものにしますよ。

宿泊パターンの比較(シニア向け快適度)
比較項目 ◎ 最適(広島駅 連泊) △ 非推奨(広島泊→倉敷泊)
荷物(スーツケース) チェックイン時に預けたら、最終日までノータッチ。 毎日、荷物を持って移動。ロッカーを探す手間も。
荷造り・荷解き 1回だけ。 毎日。
移動の拠点 すべてのJR・新幹線の起点である「広島駅」が拠点。 広島→倉敷の移動自体が、荷物を持っての大移動になる。
体力の消耗 最小(観光だけに体力を集中できる) 最大(移動と荷物で体力を消耗する)

2-2. 鉄則②:荷物(スーツケース)は持って歩かない

鉄則①と深く関連しますが、「荷物をどう扱うか」は、シニア旅の生命線です。

鉄則①の「広島駅連泊」を実行しても、旅行の「1日目(行き)」と「3日目(帰り)」は、どうしても荷物(スーツケース)と駅がセットになります。

ここでの「最適解」は、「1. 出発前の準備」でご紹介した「宅配便での事前配送」です。

もし、それができなかった場合(または、あえて持って行く場合)の「次善の策」が、この鉄則②です。

行動のアドバイスは、広島駅に着いたら、観光(宮島など)に向かう前に、何よりも先に「荷物を預ける」ことです。

最適:連泊する広島駅直結ホテルに行き、「チェックインは午後ですが、荷物を預かってください」とフロントに預ける。
次善:広島駅構内の「コインロッカー」に入れる。

スーツケースを持ったまま宮島口まで移動し、「宮島口のロッカーが全部埋まってた…」というのが、最悪のシナリオです。

「荷物を持って歩かない」と、固く心に決めること。そのために、まず「荷物を預ける」というワンクッションを、必ず旅程に組み込んでください。

「荷物」を処理する優先順位

  1. 【最優先(A)】「宅配便」でホテルに事前配送する (推奨)
    • → 旅程から「荷物」という概念が消えます。当日は手ぶらでOK。
  2. 【次善(B)】「ホテルのフロント」に預ける
    • → 広島駅に着いたら、まず連泊する駅直結ホテルのフロントへ直行し、チェックイン時間前でも荷物を預けます。
  3. 【最終手段(C)】「駅のコインロッカー」に預ける

2-3. 鉄則③:移動は「新幹線・JR+タクシー」を中心に

最後の鉄則は、日々の「移動手段」の選び方です。

広島市内には「路面電車(ひろでん)」が網の目のように走っており、観光の足としてとても有名です。

でも、ちょっと待ってください。
路面電車は、風情はありますが、「混雑」し、「乗り降りに大きな段差」があり、「時間がかかり」、停留所から「目的地まで意外と歩く」ことが多い…と、シニア・車椅子世代にとっては「バリア(障壁)」の塊(かたまり)でもあるんです。

シニア世代の正解は、「速さ」と「快適さ」で選ぶこと。

1. 広島 ⇔ 宮島口
→ 路面電車(約70分)ではなく、「JR山陽本線」(約30分)の一択です。速さが倍以上違います。

2. 広島 ⇔ 倉敷
→「新幹線」(広島→岡山)+「JR山陽本線」(岡山→倉敷)が最適です。

3. 広島駅 ⇔ 平和記念公園
→ 路面電車(約20分+徒歩10分)ではなく、「タクシー」(約10分)を推奨します。

行動のアドバイスとして、市内の移動(例:広島駅→平和記念公園、倉敷駅→美観地区)で使う「数千円のタクシー代」を、絶対に惜しまないでください。
それは「贅沢(ぜいたく)」ではなく、その後に続く観光を楽しむための、最も重要な「体力維持費(投資)」ですよ。

シニア向け「最適」な移動手段
移動区間 ◎ 最適な手段(推奨) △ 非推奨な手段(シニアには負担大)
広島駅 ⇔ 宮島口駅 JR山陽本線(快速 約25分 / 各停 約30分)
→ 速く、本数も多い。
路面電車(ひろでん)
→ 約70分かかり、時間が読めない。
広島駅 ⇔ 倉敷駅 新幹線(広島→岡山)
JR(岡山→倉敷)
→ 最も速く、快適。
在来線(JR)のみ
→ 非常に時間がかかり、乗り換えも多い。
広島駅 ⇔ 平和記念公園 タクシー(約10分)
→ 資料館の目の前まで行ける。
路面電車 / 市内バス
→ 混雑、階段、停留所から徒歩10分弱。
倉敷駅 ⇔ 美観地区 タクシー(約5分)
→ 美観地区の入口まで行ける。
徒歩(約15分)
→ 夏場・冬場は特に体力を消耗する。
キャラクター
「『広島駅に連泊』『荷物は持たない』『タクシーを惜しまない』。この3つだけで、旅の“疲れ具合”が本当に変わります。特に、毎日ホテルを変えるのは、絶対にやめたほうがいいですよ。」

3. 【2泊3日】ゆったり巡るモデルコース(広島・宮島・倉敷)

さて、「3つの鉄則」(セクション2)で旅の戦略が決まったら、いよいよ具体的な「2泊3日」のスケジュールを組んでいきましょう。

このモデルコースで一番大切にしているのは、「体力の配分」です。

・1日目(体力が一番ある日):最も移動が複雑(JR+フェリー)な「宮島」を制覇します。
・2日目(中日):午前中は「広島市内(平和記念公園)」、午後は新幹線で「倉敷」へ日帰り。
・3日目(最終日):移動は一切なし。「広島駅」周辺で、グルメとお土産だけに集中し、疲労ゼロで新幹線に乗ります。

この順番が、シニア世代にとっては一番無理がないんです。

「広島駅」という拠点を動かさず、そこから「日帰り」で各スポットを攻略していくイメージですね。

宮島へ渡るフェリーの、あの「ボーッ」という汽笛(きてき)の。倉敷の白壁を映す、穏やかな川面のきらめき。広島駅で味わう、ソースの焼ける香ばしい匂い…。

スーツケース(荷物)のストレスから解放された「身軽な体」で、五感をフルに使って、3都市の魅力を味わい尽くしましょう。

【シニア向け】2泊3日 ゆったりモデルコース概要
日程 主な訪問地 宿泊地 体力温存のポイント
1日目 新幹線 → 宮島(厳島神社) 広島駅 直結ホテル (荷物)ホテルに即預け、手ぶらで移動。
(移動)JR+フェリー(最短ルート)を利用。
2日目 広島市内(平和記念公園)
倉敷(美観地区)
広島駅 直結ホテル
(連泊)
(荷物)連泊なので荷物ゼロ。
(移動)新幹線+タクシーで効率よく移動。
3日目 広島駅周辺(グルメ・お土産)
→ 新幹線
(チェックアウト) (荷物)荷物はホテルのフロント預け。
(移動)「駅ビル」の中だけで完結。

3-1. 【1日目】新幹線→広島(荷物動線)→宮島→広島泊

旅の初日。体力が一番残っているこの日に、最も「乗り換え」が多い宮島へ向かいます。

【10:00頃】広島駅に新幹線で到着
ここが最初の分岐点です。
絶対に、スーツケースを持ったまま宮島口へ向かってはいけません。

【10:15】広島駅直結ホテルへ
新幹線改札を出たら、そのまま直結のホテル(例:ホテルグランヴィア広島)のフロントへ。「チェックインは午後ですが、荷物をお願いします」と、スーツケースを預けます。(※セクション1の「事前配送」が済んでいれば、この手間さえ不要です)

【10:30】手ぶらでJR山陽本線へ
身軽になったら、JRの在来線ホームへ。「路面電車(ひろでん)」は時間がかかりやすいので、「JR山陽本線(岩国方面)」を利用します(目安 約25〜30分)。

【11:00】宮島口駅 → フェリー乗り場
宮島口の駅からは、バリアフリー経路(エレベーター)を使ってフェリー乗り場へ。
フェリーは「JR西日本宮島フェリー」などが運航しています。通常は別途運賃が必要ですが、一部のフリーパス(例:JR系パス)で利用可の場合ありです。対象可否は最新の公式情報をご確認ください。

【11:15】宮島到着 → ランチ
フェリーで約10分。潮の香りを感じながら、宮島に上陸。
ここで行動のアドバイスです。厳島神社へ直行する前に、まず「お昼ごはん」を済ませましょう。 11時半頃なら、名物の「あなご飯」の人気店(→詳しくはセクション4-1)も、まだ行列が短い可能性が高いです。

【13:00】厳島神社 拝観
お腹が満たされたら、いよいよ厳島神社へ。
もう一つの行動アドバイスは、必ず「潮見表(しおみひょう)」を確認しておくこと。→詳しくはセクション5-3
海に浮かぶ赤い大鳥居が見たいなら「満潮(まんちょう)」、鳥居の根元まで歩いてみたいなら「干潮(かんちょう)」の時間を狙います。

【15:00】宮島出発 → 広島駅へ
疲れすぎる前に、早めに島を出るのがシニア旅のコツ。

【16:00】ホテル チェックイン
広島駅のホテルに戻り、預けていた(あるいは配送されていた)荷物を受け取り、お部屋へ。
夕食は、駅ビルの商業エリアで軽く済ませるか、ホテルのレストランでゆっくり。これが一番楽な初日です。

【1日目】の「歩かない」ポイント

  • 荷物動線:広島駅到着後、即ホテルに預ける。観光中は「手ぶら」を徹底。
  • 移動:広島駅⇔宮島口は、所要が短い「JR山陽本線」を利用。
  • 食事:混雑のピーク(12時~13時)を避け、「11時半頃」に早めのランチを狙う。
  • 体力:最も大変な「宮島」を、体力が万全な「初日」に攻略。

3-2. 【2日目】広島(平和記念公園)→倉敷(美観地区)→広島泊

2日目。ホテルを連泊しているので、朝の荷造り(パッキング)は一切不要です。これだけで、朝のゆとりが全然違いますよね。

【9:30】ホテル出発 → 平和記念公園へ
ここで、鉄則③の「タクシー」を使います。広島駅前から「平和記念公園(資料館)」までは、タクシーで約10〜15分。路面電車(+徒歩)より短時間で快適に到着です。

【9:45】平和記念公園・原爆ドーム 拝観
「平和記念資料館」は、精神的にも体力的にもエネルギーを使います。混雑する前の「午前中」に、時間をかけてゆっくりと見学しましょう。時折聞こえる、平和の鐘のが心に響きます。

【11:30】平和記念公園 → 広島駅へ
帰りも、もちろん「タクシー」です。資料館周辺から乗車し、広島駅へ戻ります。

【12:00】広島駅 → 倉敷へ(新幹線+JR)
広島駅に着いたら、駅構内で簡単にお昼を済ませます。
行動のアドバイスは、ここでも「荷物」です。 朝ホテルから持ってきたサブバッグ(お茶や常備薬など)は、広島駅のコインロッカー(→詳しくはセクション5-4)に入れ、倉敷へは「貴重品ポシェット一つ」で向かいましょう。
移動は「新幹線(広島→岡山)」+「JR(岡山→倉敷)」が最適です。

【13:30頃】倉敷駅到着 → 美観地区へ
倉敷駅前から「美観地区(びかんちく)」の入口までも、徒歩15分ほどと意外に歩きます。ここも迷わず「タクシー」(約5分)を使い、体力を温存しましょう。

【14:00】倉敷美観地区 散策
白壁の蔵が並ぶ、美しい街並み。幸い、美観地区の中心部(川沿い)は「平坦(へいたん)」です。ただし、路面は「石畳(いしだたみ)」なので、車椅子や杖(つえ)の方は、足元に注意しながらゆっくり進みましょう。
「川舟」に乗るのも風情がありますが、乗り場に「段差」があります(→詳しくはセクション3-3)。
疲れたら、おしゃれな「休憩カフェ」(→詳しくはセクション4-3)で、ゆったりお茶の時間を。

【16:30】倉敷駅 出発 → 広島駅へ
陽が傾きかける前に、早めに引き上げます。

【18:00】広島駅 到着・夕食
ホッとする「我が家(=広島のホテル)」に帰還。荷物(スーツケース)は、朝出かけた時のまま、お部屋で待っててくれています。この安心感が、連泊の最大のメリットですね。

【2日目】の「歩かない」ポイント

  • 荷物動線連泊(荷物ゼロ)。サブバッグも広島駅のロッカーに預け、「手ぶら」で倉敷へ。
  • 移動(市内):広島駅⇔平和記念公園、倉敷駅⇔美観地区は、「タクシー」で歩行距離を徹底短縮。
  • 移動(都市間):広島⇔倉敷は、「新幹線+JR」で、速さと快適さを最優先。
  • 体力配分:体力を使う「平和記念資料館」は、元気な「午前中」に。

3-3. 【3日目】広島(お土産・グルメ)→新幹線で帰路へ

いよいよ最終日。この日は、もうどこにも観光に行きません。
最大の目的は、「お土産」と「広島グルメ(お好み焼き)」を楽しみ、疲れゼロで新幹線に乗ることです。

【10:00】ホテル チェックアウト
ここでも鉄則発動です。
チェックアウトしたら、その重いスーツケースは、すぐにホテルのフロント(または駅のロッカー)に預けます。

【10:15】広島駅ビル「ekie(エキエ)」散策
身軽になったら、広島駅直結の商業施設「ekie(エキエ)」へ。
2階の「おみやげ館」は、もみじ饅頭(まんじゅう)から日本酒、海産物まで、広島のすべてのお土産がワンフロアで揃います。あちこち歩き回る必要がありません。

【11:30】早めのランチ「お好み焼き」
お土産を買ったら、同じ駅ビルのレストランフロアへ。
ここには、名店のお好み焼き屋さんが集まっています。(→詳しくはセクション4-2
行動のアドバイスは、お昼のピーク(12時)より少し早い「11時半」に入店すること。
カウンター席(鉄板前)だけでなく、足腰に優しい「テーブル席」を用意しているお店も多いので、安心です。ソースの焼ける香ばしい匂いに包まれながら、旅の最後を締めくくりましょう。

【13:00】ホテルで荷物ピックアップ
お腹も心も満たされたら、預けていたスーツケースを受け取りに、ホテルのフロントへ。

【13:15】新幹線ホームへ
スーツケースを引くのは、この「ホテル→新幹線ホーム」の、わずか数分だけ。
お土産でいっぱいのサブバッグと、美味しい思い出を胸に、ゆったりと帰路につきます。

【3日目】の「歩かない」ポイント

  • 荷物動線:チェックアウト後、即フロントに預ける。お土産を買った後、新幹線に乗る「直前」にピックアップ。
  • 移動:一切なし。「広島駅ビル(ekieなど)」の中だけで、グルメも買い物もすべて完結。
  • 食事:混雑を避け、「11時半」の早めランチを狙う。
  • 体力消耗ゼロ。最も楽な一日を最終日に設定し、元気に帰宅。
キャラクター
「どうですか、このコース? 『1日目:宮島』『2日目:倉敷』『3日目:駅だけ』。これが、荷物と体力の負担を最小にする、シニア向けの黄金(おうごん)ルートだと思います!」

4. 各スポットの「歩かない」コツとバリアフリー情報

「広島駅」を拠点にした、快適な2泊3日のモデルコース(セクション3)、イメージできましたでしょうか。

この章では、そのコースを実行するための「詳細な攻略法」を解説します。

宮島も、平和記念公園も、倉敷も、それぞれにシニア・車椅子世代が知っておくべき「固有の落とし穴」があります。
「フェリーの乗り換えはスムーズか」「資料館はいつ混むのか」「石畳をどう避けるか」──ポイントを把握すれば、安全な動線だけを選べます。

4-1. 宮島・厳島神社(フェリー乗換/潮位/車椅子動線)

1日目のハイライト、宮島です。

ここでの「壁」は、①JR宮島口駅からフェリー乗り場への乗換、②上陸後に厳島神社まで続く約700mの距離、③人混みです。

まず「①フェリー乗換」。宮島口駅を降りると「JR西日本宮島フェリー」と「松大汽船」が並びます。どちらもバリアフリー対応で、スロープ乗降・エレベーター経路が整っています。
行動アドバイス:景観と便数のバランスで「JRフェリー」を選ぶのが無難です。一部のフリーパスで利用可の場合ありのため、対象可否は必ず最新の公式情報を確認してください。

次に「②車椅子動線」。フェリーターミナルから神社までは一本道ですが長めです。表参道商店街は混雑・道幅狭め。海沿いの「海岸通り」は道幅が広く平坦で、視界も開けており快適です。

最後に「③潮位(ちょうい)」。セクション6-3の潮見表の見方を確認してから出発を。
満潮=海に浮かぶ鳥居の景観を狙う場合。
干潮=鳥居の根元付近まで接近したい場合。

【宮島・厳島神社】バリアフリー・チェックリスト
項目 シニア・車椅子向け情報
フェリー乗換 バリアフリー経路あり
・JR宮島口駅⇔乗り場はエレベーター経路あり。
・乗船はスロープ渡し板で段差対応。
車椅子動線 △ ターミナル→神社は約700m
海岸通りを推奨(広い・平坦)。
・神社入口に車椅子用スロープあり。
神社 内部 ○ 木の回廊でほぼ平坦。一部に敷居など小段差あり。
車椅子用トイレ ◎ 宮島ターミナル内、神社入口手前など複数箇所に設置。
車椅子レンタル ◎ 宮島ターミナル観光案内所で無料貸出(台数限定)。

4-2. 広島・平和記念公園(資料館混雑/ドームまでの距離/トイレ)

2日目午前に訪れる広島の中心です。園内は平坦で舗装され、動線は良好です。

課題は、①平和記念資料館の混雑、②資料館→原爆ドームの距離です。

①混雑」対策:開館直後(9:30頃)が最適。エレベーター完備ですが、10:30以降は団体で混みやすく滞留します。

②距離」対策:資料館→原爆ドームは約500〜600mタクシーで資料館前→ドーム前へ移動し体力を節約しましょう。午後の倉敷観光に響きません。

【平和記念公園】バリアフリー・チェックリスト
項目 シニア・車椅子向け情報
資料館の混雑 △ 平日でも混雑。開館直後の入館を推奨。館内EVあり。
ドームまでの距離 約500〜600m。無理せずタクシー移動が最適。
公園内動線 ◎ 平坦・舗装で走行性良好。
車椅子用トイレ ◎ 資料館内および園内各所に設置。
車椅子レンタル ◎ 資料館窓口で無料貸出(台数限定)。

4-3. 倉敷・美観地区(石畳対策/休憩所/川舟の段差)

2日目午後の倉敷美観地区。白壁の蔵、柳並木、穏やかな川面が魅力ですが、最大の難所は石畳です。

石畳は車椅子や歩行器の車輪に振動を生み、体力を消耗させます。欲張って歩き回らないのが正解。タクシーで入口へ直行し、川沿いの中橋〜今橋の美しい区間だけを往復。疲れたらすぐ休憩所(カフェ)へ。

倉敷館(観光案内所)には無料休憩スペースと多目的トイレがあり、オアシスとして最適です。

川舟について:乗り場は階段で、乗降に段差があります。車椅子のままの乗船不可。介助者の補助と、数歩の自力歩行が必要です。

【倉敷・美観地区】バリアフリー・チェックリスト
項目 シニア・車椅子向け情報
動線・高低差 ほぼ平坦。坂や長い階段は少ない。
石畳対策 × 最大の難関
太めタイヤの車椅子推奨(駅案内所等でレンタル可・台数限定)。
→ 川沿い中心で距離を短く。
川舟の段差 車椅子のまま乗船不可。階段・段差あり。介助者必須、数歩の自力歩行が目安。
休憩所・トイレ 倉敷館に無料休憩所・多目的トイレ。地区内にも複数の多目的トイレあり。
車椅子レンタル ◎ 倉敷駅観光案内所などで無料貸出(台数限定)。
キャラクター
「宮島は『海沿いの道』、平和公園は『タクシーでショートカット』、倉敷は『石畳に注意して、すぐ休む』。このコツを押さえれば、3大スポットも安心です。」

5. 座って味わう「広島・倉敷」グルメ

旅の疲れは、足腰だけでなく「胃腸」にも現れますよね。

「せっかく宮島に来たのに、『あなご飯』の有名店は、炎天下で1時間待ち…」
「お好み焼きは食べたいけど、カウンターだけの狭いお店で、立ったまま待つのはちょっと…」

そうなんです。シニア世代のグルメは、「味」と同じくらい、「快適に座れるか」が大切です。

「歩かない」旅程(セクション3)を組んでも、お昼ごはんで疲れてしまっては意味がありません。

この章では、今回の旅で出会う3大グルメ、「宮島のあなご飯」「広島のお好み焼き」「倉敷のカフェ」について、「行列を回避」し、「テーブル席」で、「ゆったり座って」味わうための、具体的なお店選びのコツをご紹介します。

ふたを開けた瞬間に立ちのぼる、あなご飯の甘辛いタレの香り
目の前の鉄板でジュウジュウと焼ける、お好み焼きの

そんな、五感で味わう「ご馳走(ごちそう)」を、人混みのストレスとは無縁の、快適な空間で楽しむための「知恵」です。

シニア向け「グルメ店」選びの3つの条件

  • ①「テーブル席」があること:カウンター席や、座敷(ざしき)だけの店は避けます。足腰に負担のない「椅子・テーブル席」が完備されていることが必須です。
  • ②「行列」を回避できること:ピークタイム(12時~13時)をずらすか、「予約可能」なお店を選びます。
  • ③「バリアフリー」であること:入口に大きな段差がなく、できればお手洗いも清潔なお店を選びます。(特に駅ビルやホテル内の店は安心です)

5-1. 宮島名物「あなご飯」(予約可/行列回避/テーブル席)

1日目の宮島ランチは、名物「あなご飯」で決まりですね。

フェリーを降りて、表参道商店街を歩くと、あちこちから蒲焼(かばやき)の香ばしい匂いが漂ってきて、食欲をそそられます。

ですが、ここで「一番有名な、あの行列店(例:う○の)」に並んではいけません。

炎天下や寒空の下で1時間も立ちっぱなしで待つのは、シニア世代にとっては「苦行」でしかなく、その後の厳島神社拝観の体力をすべて奪われてしまいます。

行動のアドバイスは、2つあります。
1. モデルコース(セクション3-1)の通り、ピークタイムより早い「11時~11時半」に入店すること。
2. あえて有名店を外し、「予約可能」または「テーブル席が広く、比較的空(す)いている」お店を選ぶこと。

例えば、商店街から少しだけ脇道に入ったお店や、2階にあるお店は、比較的ゆったり座れることが多いです。

また、宮島口(フェリーに乗る前)にも、あなご飯の美味しいお店はたくさんあります。「島に渡る前に、宮島口でゆっくり食べてから行く」というのも、人混みを避ける賢い選択肢ですよ。

宮島「あなご飯」のお店の選び方(シニア向け)
対策 具体的なお店選びのコツ(例)
① 時間をずらす(推奨) 11時~11時半頃の、開店直後を狙う。(最も確実)
・または、ランチタイムを過ぎた14時以降を狙う。
② 場所を選ぶ(推奨) ・「宮島島内」ではなく、「宮島口(フェリー乗り場周辺)」の店を選ぶ。
(※島内より、比較的行列が穏やかな傾向があります)
③ 店を選ぶ(要確認) ・「予約可能」なお店を、事前に電話で予約しておく。
・「テーブル席」が完備されているお店を選ぶ(座敷のみの店は避ける)。
・あえて「有名店(行列店)を避ける」勇気を持つ。

5-2. 広島名物「お好み焼き」(広島駅ビル/テーブル席/混雑回避)

3日目の最終日ランチは、広島のソウルフード「お好み焼き」ですね。

あの、鉄板の上でジュージューと焼けると、ソースの焦げる香ばしい香りは、たまりません。

ですが、ここにも「シニアの壁」があります。
街中の名店は、「カウンター席(高い丸椅子)」のみで、背中合わせの狭い空間で、しかも大行列…というお店が非常に多いんです。

これでは、足腰に不安のある方や、荷物(サブバッグ)のある方は、落ち着いて食事ができません。

そこで、シニア世代の「最適解」は、モデルコース(セクション3-3)の通り、「広島駅ビル(ekie など)」の中のお店を選ぶことです。

行動のアドバイスは、「カウンター席」ではなく、「テーブル席」が用意されているお店を選ぶこと。
駅ビル(レストランフロア)には、有名店がずらりと並んでいますが、その多くが「テーブル席」を併設しています。

カウンターの熱気を感じることはできませんが、その代わり、スーツケースを預けた駅直結ホテルから歩いてすぐ、空調の効いたバリアフリー空間で、ゆったりと椅子に座って、名店の味を楽に楽しめます。

ここでも、混雑する12時より少し早い「11時半頃」に入店するのが、待ち時間をゼロにするコツですよ。

広島「お好み焼き」のお店の選び方(シニア向け)
対策 具体的なお店選びのコツ(例)
① 場所を選ぶ(最適) ・「広島駅ビル(ekie など)」のレストランフロアを選ぶ。
→ 荷物を預けたホテルから近く、バリアフリー。
② 席を選ぶ(必須) ・「カウンター席」のみの店は避け、「テーブル席」が完備されているお店を選ぶ。
③ 時間をずらす(推奨) ・ランチのピーク(12時~13時)を避け、11時半頃、または14時以降に入店する。

5-3. 倉敷美観地区「休憩カフェ」(椅子席/休憩スポット)

2日目の午後、倉敷美観地区。
あの、ガタガタする「石畳(いしだたみ)」の上を歩いていると、シニア世代は、普通のアスファルトの倍は疲れますよね。

ここでは、観光を楽しむのと同じくらい、「どこで、賢く休むか」が重要になってきます。

美観地区には、町家(まちや)を改装した、素敵なカフェがたくさんあります。

ですが、ここで「注意点」が一つ。
「古民家カフェ」の中には、入口で靴を脱ぎ、急な階段を上がった2階の「座敷(ざしき)席」に通される…というお店が、意外と多いんです。

これでは、休憩するどころか、かえって疲れてしまいます。

シニア世代の行動アドバイスは、「靴を脱がない」「1階にある」「椅子(ソファ)席」の3点を満たすカフェを選ぶことです。

例えば、大原美術館の隣にある「喫茶室アミー」や、川沿いにある「倉敷珈琲館」などは、入口の段差が少なく(またはスロープがあり)、椅子席でゆっくり休める、シニアにとっての「オアシス」のような場所です。

また、セクション4-3でも触れた「倉敷館(観光案内所)」は、無料の休憩スペースと車椅子用トイレが完備されているので、ここを「休憩の拠点」として覚えておくのも、非常に賢い方法ですよ。

倉敷美観地区「休憩場所」の選び方(シニア向け)
場所 シニア向け「チェックポイント」
無料の休憩所(推奨) ・「倉敷館(観光案内所)
→ 川沿いの中心部。無料休憩所(椅子あり)、車椅子用トイレ完備。
カフェ(有料) 入口に段差がないか(スロープはあるか)。
靴を脱がずに入れるか。
1階に、椅子(ソファ)席があるか。
(※「古民家カフェ」は、座敷や2階席の可能性があるので要注意)
おすすめカフェ(例) ・「喫茶室アミー」(大原美術館となり、入口段差少なめ、椅子席)
・「倉敷珈琲館」(川沿い、入口段差少なめ、椅子席)
キャラクター
「『あなご飯』は11時半、『お好み焼き』は駅ビルのテーブル席、『倉敷カフェ』は1階の椅子席。この“合言葉”だけで、グルメの疲れが半分以下になりますよ。」

6. 予約のコツとよくある質問(FAQ)

さて、これで「広島・宮島・倉敷」を快適に巡るモデルコースは、ほぼ完成です。

「広島駅連泊」という「拠点」を決め、「荷物を送る」という「準備」をし、「タクシー」という「快適な足」も確保しました。

この最後の章では、それでもまだ残っている、細かくて現実的な「疑問」を、Q&A形式でスッキリ解消していきましょう。

「やっぱり、倉敷の美観地区に泊まる夢も捨てがたいんだけど…」
「宮島の鳥居、どうせなら海に浮かんでる姿と、歩ける姿と、両方見たい!」
「コインロッカーって、スーツケースが入る大きいの、本当にあるの?」

そうですよね。こうした「最後のひと押し」の情報が、旅の満足度を左右します。

特に「潮見表(しおみひょう)」の見方や、「ロッカーのサイズ」といった具体的な情報は、知っているかいないかで、当日の行動がまったく変わってきます。

旅のしおりの最後のページを埋めるような気持ちで、ご確認ください。

6-1. 「広島泊」と「倉敷泊」どちらが楽?(結論:広島連泊)

これは、本当に悩ましい問題ですよね。
倉敷の美観地区には、町家(まちや)を改装した、風情(ふぜい)あふれる素敵な宿がたくさんあります。「夜の静かな美観地区も歩いてみたい…」そう思うお気持ちは、とてもよく分かります。

ですが、私たちのブログでは、50代・60代のシニア世代の「体力の温存」を何よりも最優先に考えます。

その結論は、セクション2でもお話しした通り、「広島駅直結ホテルに2連泊」が、圧倒的に「楽」です。

理由は、たった一つ。「スーツケースという最大の“お荷物”を持って、都市間を移動する」という、旅で最も疲れる行動を「ゼロ」にできるからです。

倉敷に泊まるということは、2日目(または3日目)に、あの重いスーツケースを広島のホテルから駅まで引きずり、新幹線に乗せ、岡山駅で乗り換え、倉敷駅に着いたら、また宿まで運ぶ…という作業が発生します。

行動のアドバイスです。
倉敷の「風情」は、2日目の午後に「日帰り」で、身軽なポシェット一つで味わい尽くしましょう。そして、疲れたら「我が家(広島駅のホテル)」に帰る。この「安心感」こそが、シニア旅の最適解ですよ。

「広島連泊」 vs 「倉敷泊」 快適度比較
比較項目 ◎ 最適(広島駅 連泊) △ 非推奨(広島泊→倉敷泊)
スーツケースの移動 ゼロ(初日にホテルに預けるだけ) 発生する(広島→倉敷の移動中、ずっと持ち運ぶ)
荷造り・荷解き 1回だけ 毎日
体力の消耗 最小(観光だけに集中できる) (荷物移動で体力を消耗する)

6-2. お得なきっぷ(フリーパス)は買うべき?

JRや観光地では、たくさんの「お得なきっぷ」や「フリーパス」が売られていますよね。「元は取れるのかしら?」と、窓口の前で悩んでしまうことも…。

結論から言うと、今回の「歩かない」モデルコース(観光タクシー併用)では、フリーパスは「買わないほうが良い」ことが多いです。

なぜなら、フリーパスの多くは、「バス」や「路面電車」が乗り放題になるものが中心だからです。

私たちは、その「シニアには負担が大きい」路面電車やバスを、体力維持のためにあえて避け、「JR」や「タクシー」を使いますよね。

例えば、広島市内の「路面電車1日乗車券」を買っても、私たちが乗るのは「広島駅⇔平和記念公園」の「タクシー」です。これでは、まったく元が取れません。

行動のアドバイスです。「フリーパスで元を取ろう」と、無理に乗る必要のない路面電車に乗ったり、余計な場所で降りたりするほうが、かえって時間と体力の「損」になります。

セクション1でお話しした通り、お近くの「みどりの窓口」で、今回の旅程(広島・宮島・倉敷)に必要なJR・新幹線の切符を、あらかじめ「正規料金で」買っておく。これが、一番シンプルで、ストレスのない方法ですよ。

フリーパスを買わない理由(シニア旅の場合)

  • ① 対象交通機関に乗らないから
    • フリーパスの対象は「路面電車」や「市内バス」が多い。
    • 私たちは「タクシー」や「JR」(フリーパス対象外区間)を優先的に使うため、元が取れない。
  • ② 「元を取る」ために無理をしがちだから
    • 「せっかく買ったから」と、不要な乗り降りや観光をしてしまい、かえって疲労が溜まる原因になる。
  • ③ シンプルさが一番
    • 必要な区間の切符を事前に買っておくほうが、当日の計算やストレスがなくて楽。

6-3. 宮島の「潮汐(潮見表)」の見方(満潮・干潮)

1日目の宮島・厳島神社。
「せっかく行ったのに、海の水がカラカラで、鳥居が陸の上にあった…」
「鳥居のそばまで歩いてみたかったのに、海の中で行けなかった…」

これは、宮島観光で一番よくある「がっかり」です。

厳島神社は、潮(しお)の満ち引き(=潮汐)によって、景色が「1日に2回」まったく変わります。
この「時間」を知らずに行くと、ご自身の見たい景色に出会えません。

行動のアドバイスです。出発前に、必ず「宮島 潮見表」とインターネットで検索してください。
「宮島観光協会」などのサイトに、カレンダー形式で「満潮(まんちょう)」と「干潮(かんちょう)」の時刻が、毎日載っています。

・海に浮かぶ「幻想的な大鳥居」が見たい → 「満潮」の時刻前後を狙う。
・大鳥居の真下まで「歩いて」みたい → 「干潮」の時刻前後を狙う。

1日目のモデルコース(11:00~15:00頃)が、満潮と干潮、どちらの時間帯にあたっているかを事前に確認し、「今回は、海に浮かぶ姿を見よう」などと、目的を決めておきましょう。

宮島「潮汐(潮見表)」の見方(目安)
状態 見られる景色 シニア・車椅子への影響
満潮(まんちょう)
(潮位 約250cm以上の目安)
・大鳥居も、厳島神社の社殿(しゃでん)も、海に浮かんで見える
・最も「宮島らしい」荘厳(そうごん)な景色。
・車椅子や杖(つえ)でも、回廊の上からその景色を拝観できる。
・(注意)大雨や台風の後は、潮位が高すぎて回廊が浸水し、拝観停止になることも稀にある。
干潮(かんちょう)
(潮位 約100cm以下の目安)
・潮が引き、大鳥居の根元まで歩いて行ける
・(※潮位 約50cm以下がベスト)
(注意)大鳥居の根元までは「砂地(ぬかるみ)」です。
・車椅子や杖(つえ)では、進むのが非常に困難(または不可)。回廊の上から「潮が引いた景色」を眺めるのが現実的です。
調べる方法 ・「宮島 潮見表」「宮島観光協会 潮汐」などで検索する。
・旅行日の「満潮」「干潮」の時刻(例:満潮 10:30頃)を確認する。

6-4. 広島駅・倉敷駅の「コインロッカー」サイズ早見表

セクション1で「サブバッグはロッカーに」とお話ししましたが、
「スーツケースが入る『特大』サイズはあるの?」
「ロッカーの場所は、結局どこが一番便利なの?」
という疑問にお答えします。

【広島駅】
ご安心ください。広島駅は、ロッカーの「数」も「サイズ」も非常に充実しています。
シニア世代にとっての最適解は、「新幹線改札口」の「中」または「すぐ外」にあるロッカーです。
特に、新幹線改札内(2階)のロッカーは、スーツケースが入る「大型」「特大」サイズも多く、ここに預けてから在来線(宮島方面)に乗り換えれば、動線がとてもスムーズです。

【倉敷駅】
倉敷駅も、改札口(2階)を出てすぐの場所に、コインロッカーがまとまって設置されています。「大型」もありますが、広島駅ほど数は多くありません。

行動のアドバイスは、どちらの駅でも「大型ロッカーは、午前中の早いうちに埋まる」と覚悟しておくことです。
やはり、最強の対策は「ホテル連泊(ロッカー不要)」、次が「ホテルに預ける」。ロッカーは「最後の手段」と考えておくのが、精神衛生上、一番楽ですよ。

広島駅・倉敷駅 コインロッカー目安
主な設置場所(シニア最適) サイズ(目安)
広島駅(推奨) 新幹線改札内(2F)
新幹線改札口(2F)すぐ外(みどりの窓口 横など)
・在来線改札内(1F)
・小型(約300円~)
・中型(約500円~)
大型(約700円~)
特大(約900円~)
(※サイズ・数ともに豊富)
倉敷駅 ・改札口(2F)を出てすぐ(南口・北口方面) ・小型、中型、大型
(※大型の数は、広島駅より少ない)
共通の注意点 ・料金はICカード(ICOCA, Suicaなど)または現金(小銭)。
・「大型」「特大」ロッカーは、午前中(特に10時頃まで)に埋まりやすいので注意。

6-5. 紅葉やGWなど混雑を避ける時期

シニア・車椅子旅行にとって、最大の敵は「人混み(ひとごみ)」です。

特に、宮島と倉敷は、道幅が狭いエリアに、国内外からの観光客が集中します。

もし、日程を自由に選べるのであれば、以下の「超」混雑期は、できる限り避けることを強く推奨します。
:ゴールデンウィーク(GW)
宮島の紅葉シーズン(11月中旬~下旬)
:年末年始

特に、秋の宮島(紅葉谷公園)は、すれ違うのも困難なほどの混雑になります。

行動のアドバイスとして、シニア世代の「最適」な時期は、そのピークを「少しだけ」ずらした時期です。

GW明け(5月中旬~6月):気候も良く、梅雨入り前で快適。
紅葉が始まる「前」(10月下旬~11月上旬):暑さも和らぎ、最も観光しやすい。
冬(1月下旬~2月):寒さ対策は必要ですが、観光客は最も少なく、静かに旅ができます。(※ただし、倉敷美観地区は、火曜定休のお店が多いので注意)

「人混み」という最大のストレス要因を「時期」で回避する。これこそ、平日に動ける私たちの特権ですね。

混雑カレンダー(シニア向け)

  • × 超混雑(非推奨):GW、お盆、11月中旬~下旬(宮島の紅葉)、年末年始
  • △ 混雑:桜の時期(3月下旬~4月上旬)、週末・3連休
  • ◎ 最適(推奨)5月中旬~6月10月~11月上旬の「平日
  • ○ 狙い目(空いている):1月下旬~2月(閑散期だが寒い)、梅雨の平日(天候次第)

6-6. 車椅子用トイレの場所(広島駅・倉敷駅)

セクション1の準備や、各スポット(セクション4)でも触れましたが、旅の生命線である「車椅子用トイレ(多目的トイレ)」について、拠点となる「駅」の情報をまとめておきます。

【広島駅】
ご安心ください。広島駅は、トイレのバリアフリー対応が非常に進んでいます。
シニア・車椅子世代の「オアシス」は、駅直結の商業施設「ekie(エキエ)」「minamoa(ミナモア)」と、直結ホテル「ホテルグランヴィア広島」です。
駅構内(新幹線改札内・在来線改札内)にも設置がありますが、駅ビルやホテルのトイレは、数が多く清潔で広々としており、介助が必要な方でも安心して利用できます。

【倉敷駅】
倉敷駅も、改札内、改札外(南口・北口)ともに、車椅子用トイレが設置されています。

行動のアドバイスは、駅に着いたら、電車に乗る前に「必ず一度、駅のトイレで済ませておく」という習慣をつけることです。
JRの在来線(宮島口行きなど)の車両には、車椅子用トイレが「設置されていない」場合も多いため、「駅で必ず行く」が鉄則ですよ。

シニア・車椅子向け「トイレ・オアシス」リスト(拠点駅)

  • 広島駅(新幹線口・南口)
    • ◎ ホテルグランヴィア広島(ロビー階など):駅直結。静かで清潔。
    • ◎ 広島駅ビル「ekie(エキエ)」「minamoa(ミナモア)」:各階に設置。新しく清潔。
    • ○ 新幹線 改札内(2F):複数箇所あり。
    • ○ 在来線 改札内(1F):あり。
  • 倉敷駅
    • ○ 改札外(2F):南口・北口方面にあり。
    • ○ 改札内(1Fホーム):あり。
  • (参考)宮島口駅
    • ○ JR宮島口駅、フェリーターミナル:どちらにも設置。
キャラクター
「『潮見表』と『ロッカーサイズ』、そして『混雑時期』。この3つを事前に調べるかどうかが、旅の上級者と初級者を分けるポイントかもしれませんね。」

7. まとめ

広島・宮島・倉敷 2泊3日。
「スーツケースを持って、毎日宿を変えながら移動する、忙(せわ)しない旅」から、「拠点(広島駅)に荷物を置き、手ぶらで日帰りする、快適な旅」へ。

この記事を通して、シニア世代の旅の「常識」を、ガラリと変えるご提案ができたのではないかと思います。

この旅の成功は、「2. 3つの鉄則」を守れるかどうかに、すべてがかかっています。

1. 宿泊は「広島駅直結ホテル」に連泊する(最適解)
2. 荷物(スーツケース)は「持って歩かない」(事前配送がベスト)
3. 移動は「JR+タクシー」を惜しまない

この3つを守るだけで、「疲れ」という最大の敵を、旅程からほぼ排除できます。

その結果、手に入れた「ゆとり」と「体力」で、
海に浮かぶ厳島神社の荘厳(そうごん)な姿を、心ゆくまで眺め、
倉敷美観地区の、白壁と柳(やなぎ)の美しいコントラストに、ゆったりと浸り、
広島駅で、お好み焼きの焼ける香ばしい匂いに、舌鼓(したづつみ)を打つ。

「あなご飯」も「平和記念公園」も、すべてを快適に楽しむための「賢い準備」。
それが、50代・60代からの「大人の旅」ですよね。

最後に出発前の「実行チェックリスト」をご用意しました。これさえ確認すれば、もう安心です。
ぜひ、荷物のストレスから解放された、快適な3都市周遊の旅へ、出かけてみてください。

【出発前に必ず確認!】「広島・宮島・倉敷」実行チェックリスト

  • スーツケースは「事前配送」の手配をしましたか?
    → 1. 出発前の準備。これが快適さの8割を決めます)
  • 宿泊は「広島駅直結ホテル」で「連泊」の予約にしましたか?
    → 2-1. 鉄則①。荷物を持って宿を移動する日程になっていませんか?)
  • JR・新幹線の切符は、すべて事前に購入しましたか?
    → 1. 出発前の準備。当日の窓口でのストレスをゼロに)
  • 市内の移動(例:広島駅→平和公園)は「タクシー」を使う覚悟はOKですか?
    → 2-3. 鉄則③。路面電車やバスで、体力を消耗しないこと)
  • 宮島へ行く日の「潮見表(潮汐)」は確認しましたか?
    → 6-3. 宮島の「潮汐」の見方。満潮・干潮、見たい景色は決まりましたか?)
  • 「大型ロッカー」の場所は、当てにしすぎていませんか?
    → 6-4. ロッカーサイズ早見表。「ホテルに預ける」のが基本です)
  • グルメは「テーブル席」「早めの時間」の計画になっていますか?
    → 5. 座って味わうグルメ。行列店に並ぶ計画になっていませんか?)

新幹線で巡る、快適な「拠点滞在型」の旅。
このスタイルが気に入っていただけたら、きっと、他のエリアへの旅も楽しくなるはずです。
当ブログでは、シニア世代が「快適に」楽しめる、旅とグルメの情報をこれからもご紹介していきます。

キャラクター
「『広島駅に連泊』、これさえ守れば、宮島も倉敷も、まるで“日帰り旅行”の気軽さで楽しめます。スーツケースは、ぜひホテルに送って『手ぶら』で新幹線に乗ってくださいね!」